看護師の働き方 ほりぽんが考える、学生時代から知ってほしい看護師としての働き方のススメ

看護

 看護学校に進学する際、看護師の働き方の印象として、きれいな病院で先輩にも患者にも慕われる笑顔で優しい看護師を想像する人が多いのではないでしょうか?しかし、看護師として働くことは生半可なことではなく、命を扱う重要な仕事であり理想と現実には大きな差があることは、看護学校等で学んでいる方やすでに働いている皆さんは十分理解されているでしょう。

ここでは、私が看護師として働いてきた経験から考える新卒~若手看護師の職場・働き方のススメを紹介します。

結論

○最初は大学病院や総合病院などの大病院勤務を経験する。

 国家試験に合格し最初に看護師として働く病院や施設について、皆さんはどのように考えているでしょうか?私は、最初に働き始めた職場で定年まで働き続ける可能性は非常に低いことだと思います。

「働き始めてからの理想と現実のギャップに耐えられなかった。」

「お局的な先輩のパワハラに耐えられない。」

「医師のアルハラで疲弊してしまう。」

「結婚して夫(嫁)の転勤についていく。」

等、様々な理由が考えられます。ですので、最終目標としてどういった職場でどういった働き方をしたいかは頭の片隅に置きつつ、まずはどんな職場でも耐えられる経験を積むことが重要だと思います。

 例えば、私は学生時代に介護老人保健施設で認知症の女性の担当をし、あまり笑わない、翌日には私の名前も覚えていない方でしたが毎日の関わりにより最終日には名前を憶えていてもらい、笑顔を引き出すことにも成功しました。施設の職員の方々が驚いていたことをよく覚えています。こういった経験から、施設で高齢の方のお世話をする看護師になりたいと考えていました。しかし、施設とはいえ様々な疾患を持つ高齢者に異常があれば早急に対応しなければならず、また必ずしも医師がいる環境ではないため看護師の初期対応が重要となります。そこで、私は「心臓について学んでおけば急に胸が苦しくなった利用者にも対応できるようになるのではないか」と考え、大学病院に進学し循環器内科・心臓血管外科を中心として担当する病棟を希望し、希望通り配属されました。実際、心疾患や心電図の見方、心臓カテーテル検査について等、他の部署では何年経っても学べなかったところを最初に勉強することが出来たことで、3年後にはある程度自信を持って心疾患を持つ患者への対応や指導といった部分もこなせるようになったと思います。大学病院で経験した、つまり県内でもトップクラスの経験を積むことができたというのは大きな自信に繋がりました。大病院以外が悪い、ということでは全くありませんが、若いうちにたくさんのことを経験し吸収するためにはこういった職場の選択が非常に重要だと感じます。

○理想と現実のギャップを受け入れる。

 大病院であればあるほど、教育システムがしっかりしており、日々様々な課題やレポートの提出が求められます。日々の業務だけでも、慣れない仕事での動きや未経験の看護技術、自分の親ほど年齢差のある同僚との人間関係など日々苦労は絶えません。加えて新人用の研修会も多く、それ以外の講演会や学習会にも出席しなければならず心身ともに疲労困憊、同期や先輩看護師からも「辞めたい」「やることが多すぎて帰れない」「帰ってレポートやって、寝るだけ」といった言葉も、私が新人のころにはよく聞く言葉でした。

 「看護師として働くことがこんなに辛いとは思わなかった。」というのは初めて病棟に配属されて1週間後の私の気持ちです。睡眠時間を削って課題をこなしても赤字の修正だらけで返却され再提出を求められる、煩雑な業務に追われ重大なミスをしてしまい先輩にも詰め寄られる、態度の悪い医師に理不尽に怒られる…こういった経験は私も何度も経験してきました。

 それでも、私は最初に選んだ病院が大学病院で良かったと感じています。その理由はやはり他では学べない多くのことを経験できたからです。施設や中小病院では学べないことを早いうちに学んでおくことは看護師人生において非常に重要です。理想と現実のギャップに心が折れたことも何度もありますが、それも含めて大病院で看護師として働くということです。まずはありのままを受け入れましょう。大なり小なりありますが、どの職場を選んだとしてもこのギャップはついて回るものだということに気付くことが大切です。

○心から本音を言える仲間を作る。

 看護師は多忙な仕事です。先輩看護師や医師、コメディカル、患者、患者家族などあらゆる人と会話し、間を繋ぐことも仕事の一つです。しかし、コソコソ陰口を言われたり、モヤっとすることがあるとどんどん心は疲弊していき、ついには崩壊、「もう働きたくない」と心の病気になる人も少なくありません。そこで、言いことも悪いことも話しあえる仲間が近くにいるということが非常に心の支えとなります。

 恋人・パートナーや家族には言えるかもしれませんが、医療・介護職でない限り看護師という特殊な社会の中のことを本当の意味で理解してもらうことは難しいのではないでしょうか。私も、大学病院でも総合病院でも、家族からは「いいところで働けて良かったね」と言われていました。外から見る分には大病院は経営もしっかりしていそうだし、中は綺麗で患者・家族へは愛想良く対応するため、このように見られがちです(これも理想と現実のギャップを生む要因ですが…)。そのため、裏側をよく知る仲間に愚痴をこぼしてスッキリするのは精神の健康を保つために必要なプロセスであるように感じます。理想としては、自身の所属する部署に1人、それ以外の部署や別の病院等に1人はいた方がいいと思います。同じ部署であればちょっとした隙間時間でも話をすることができます。また、別部署や別の病院の人であればあなたの話を新鮮だと感じてくれるし、もしかしたらあなたより大変な職場での話を聞く機会になり「私の方がまだいい方だな」と思えるようになるかもしれません。

 いかがでしたか?当たり前だと思った人もいるかもしれませんね。私自身は、学生時代に「若いうちは買ってでも苦労しろ」という言葉を聞き、最初は寝る間も惜しんで仕事をこなし、愚痴り大会という名の飲み会を頻繁に行っていました。やはり若いうちに苦労していない人は、ある程度経験を積んでからいきなり頑張ろうと思ってもすでに経験してきた人には遠く及びません。よほどの覚悟がある人でないと、若いうちに苦労してきた人に努力の量で勝ることは難しいと思います。少しでも早いうちに、苦労できる環境を選び、困難な状況に耐えられるような精神の守り方を習得できれば、後の成長速度を飛躍的に速めたり、仕事の選択肢を増やすことに繋がるでしょう。

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