精神科病院の入院形態ってどうなってるの?

看護

みなさんは精神科の入院形態について疑問感じたことはありますか?

普通、病院に入院する際は医師からの説明を聞いた上で、本人または家族などのキーパーソンに当たる方が治療に同意をすることで入院することになります。しかし、精神科においては同意を待つ余裕も無く入院させる必要が出てくる場合があります。

具体的な例で言うと、統合失調症等で「私は神だ!」などと叫び、包丁を振り回した場合などはこれに当たります。通常はありえない状況ですし、時々ニュースで似たような事件を見ることがあるくらいですよね?「本当にそんな人いるの?」と思うかもしれませんが、精神科では時々見られる症状です。こういった場合、明らかに状況を理解できる精神状態で無く、周囲の人に危害が及ぶ可能性が高い状況です。また、近くに身内の方が住んでいないような場合や、当人とは縁を切ったから連絡してこないでほしいといった場合もあります。

こういった場合は警察が対応した後に精神科病院に入院となることが多いのですが、どのような入院制度が敷かれているのでしょうか

精神科の入院制度については、精神保健福祉法に基づき、厳密に定められています。

参考:精神保健福祉法

措置入院/緊急措置入院

先に挙げた例のような自傷他害の可能性が高い精神障害者が対象となります。この入院形態が適応となる場合は都道府県知事の決定が必要となるため、該当となる都道府県に所属する精神保健指定医(一定の要件を満たした精神科医のこと)2名の診察が必要です。暴れていたり警察に通報された後の状態となっており、病院に到着する頃には警察や保健所など様々な機関が既に介入しています。

医療保護入院

認知症で状況理解が出来なかったり、患者本人が入院を拒否していたりする場合等はこの入院形態が用いられます。患者本人または家族等のキーパーソンが付き添うことで病院に来ることが出来ている(受診できている)必須があります。

自宅では徘徊する等して目が離せないが、家族も常に見守ることはできず介護サービスも調整できていない…といった場合に社会的事情により医療保護入院となることが多い印象です。

応急入院

緊急の医療を受けたり、保護をしたりする必要があると判断された場合に用いられる入院形態です。自傷他害の有無によって、措置入院/緊急措置入院と分けられます。また、医療保護入院の適応なのにキーパーソンと一時的に連絡が取れないといった場合にも用いられるようです。

私の場合は精神科病院で働いて1年以上経ちますが、この入院形態が必要になった例はまだ見ていません。そもそもが72時間に限る入院形態であり、非常に稀な状況での入院形態と言えるでしょう。

任意入院

患者本人が入院に納得している状態。言ってしまえば精神科以外の病院と同じような入院形態です。この入院形態は患者の同意が必須なので、患者が帰りたいと言ったら退院させなければいけません

外来では入院に納得していても、入院してみたら精神状態が悪化し退院を要求されることも少なくありません。そういった場合に医師が入院継続が必要と判断した場合は、精神保健指定の診察により72時間の退院制限をかけ、その間にキーパーソンに事情を説明し医療保護入院に切り替える必要があります。

私が精神科病院で働き始めた際に、最初のオリエンテーションで「一般の病院と精神科の病院の一番の違いは、鍵の管理と入院形態の違いが大事だってとこだから」と言われました。鍵の重要性は何となく分かりましたが、入院形態の違いって何なんだろう?と思ったのを覚えています。精神科独特の注意点ですよね。

入院形態の違いは精神科病院で働いたことの無い方には馴染みのない制度かと思いますが、一般病院で安静度を日々確認しながら看護業務に当たるのと同じくらい頻繁に確認する部分です。精神科病院では半強制的な入院や隔離・拘束など、患者の行動を制限する権限が与えられています。しかし、制限することに慣れてしまい人権侵害に及んでしまうことは絶対に避けなければなりません。最近は精神科患者への医療者の虐待がニュースで報じられることも多いですが、気付かない内に自身が加害者になってしまわないよう、日頃から法律で定められた制度をしっかり把握し遵守するよう心掛けましょう!

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