皆さんこんにちは、走るメンズナースほりぽんです。看護師や看護学生の方であれば一度は「最初は精神科(病院)に行かない方がいい」と先輩看護師や師長等の上司、学校の先生に言われたことがあるのではないでしょうか?私は2度の転職を経て3つ目の勤務先に精神科病院を選びました。今回の連載では、私が1年以上精神科病院で働いて新卒看護師が働くのはおすすめできないと感じる理由を5つ紹介しています。既に新卒で精神科(病院)で働き始めている方の考え方を否定する訳ではありませんが、今後の働き方を考える上で参考にしてもらえたらと思います。
⑤再入院率が高く、やりがいを感じにくい
精神疾患は種類によりますが、再発・再燃の可能性が高いです。統合失調症やうつ、アルコール依存など、一度は症状が軽快し退院となったとしてもささいな事柄がきっかけで症状再燃し入院へ…となっている人は数えきれません。
内科的疾患では服薬や食事のコントロールにより比較的マイルドな経過をたどるかと思いますし、外科的なものは急激に状態悪化があり生死の境を彷徨う重篤な状態に陥ることもありますが、順調な経過をたどることが出来れば整形外科など内容によってはほぼ病院に通う必要が無くなる場合もあります。いずれも、入院中の医療行為による治療と退院後の社会復帰に向けた生活生活指導が重要で、特に生活指導の面では看護師の関わりが大部分を占めます。新卒の方には分かりにくいかもしれませんが、生活指導は非常に重要であると同時にやっかいな業務でもあります。多くの場合、患者の元の生活に改善の余地があり、生活の見直しを促すことになるからです。生活習慣というのは、その人が長年積み重ねたものであり、通常はそう簡単に変えられるものではできません。病気・入院といった特殊な状況に陥ってしまったことで、生活改善を余儀なくされたために医療者の説明に耳を傾けられるようになるのではないでしょうか。中には、簡単には生活改善はできない例もありますが、そういった方の考え方を良い方向に変え、病気の再燃を予防できたり、外来で元気な姿を見かけた時などにはやりがいも感じることでしょう。
一方、精神疾患についてはそれまで積み重ねた指導も一瞬の出来事で無に帰してしまうことがあります。アルコール依存の方は、二度とお酒は飲まないと言って退院したはずなのに、コンビニでアルコールを見て無意識に手に取り飲酒を再開…あれだけ指導して受け入れも良かったはずなのに、と感じてしまいます。統合失調症の方では、退院後に怠薬してしまい街中で大暴れして警察に補導され措置入院…家族が服薬管理は手伝ってくれると言っていたのに、と退院前の状況を思い出してしまいます。こういった事例を見ていると「どうせまた入院してくるでしょ」という気持ちが強くなり、仕事に対するやりがいが感じられなくなったり、モチベーションが低下してしまう可能性があります。
精神疾患は上手に付き合っていく必要があり、それをサポートする周囲の環境も重要です。内科・外科では退院後の生活についての指導は看護師の関わり・連携調整が大部分を占めていたのに比べ、精神疾患では相談員やケアマネ・包括など看護師以外の支援者との連携が重要になってくる点も看護師としてのやりがいにつながりにくい要因かもしれません。頭の片隅に「私(看護師)がやらなくても、あの人(相談員、ケアマネetc.)が上手く調整してくれる」という考えがあり、人任せになってしまう部分があるのかもしれませんね。
病状の再燃や再入院の可能性が高いのは疾患の特性とも言えるので、必ずしも看護師の関わりが原因とは言えません。しかし、「私の指導をよく聞いてくれた△△さんは再入院することも無く元気に生活している。人のためになるこの仕事をやっていて良かった」と思える状況が少ない精神科において、新卒看護師がやりがいを感じられる場面が少なくなってしまうのも頷けるところです。
これまで精神科において新卒看護師が働くのはおすすめできないと感じる理由を5つ紹介してきました。私なりに実際の臨床経験を踏まえた考えを述べていますが、あくまで個人的な考えですので人によっては異なる考えを持つ方もいるでしょう。どれが正しいということではなく、今回の5つの記事が看護師としての働き方や働く場所を考えるきっかけとなり、皆さんが目指す看護師象に近づける働き方に繋げられれば嬉しいです。
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